ペルー安全対策情報(2026年7~9月分:邦人被害例等)

令和8年11月5日
1 社会・治安情勢
(1)一部山間部地域、国境地帯、トゥンベス州、ラ・リベルタ州の一部地域に対して非常事態宣言が継続して発出されており、フジモリ政権下でも、8月29日よりリマ市・カヤオ憲法特別市に対する非常事態宣言が再発出されるなど、依然として社会・治安情勢は流動的です。また、下記2(1)のとおり犯罪件数は依然として高い水準で推移しているほか、下記2(2)アのとおり窃盗の邦人被害も発生していることから、引き続き注意が必要です。
 
(2)観光客が多く訪れるマチュピチュでは、2025年末に、同鉄道区間における列車同士の衝突事故も発生しました。今後も同様の混乱が起きる可能性もあり、有名観光地へ赴く際も予備の常備薬や最低限の飲食物の携行など事前の準備と慎重な行動が重要です。
 
(3)テロ組織は一部山間部地域に潜伏し、麻薬密輸を資金源に現在も活動を続け、軍や国家警察に対する武力攻撃を続けています。
 
 
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)全般
ア 2025年中の刑法犯罪認知件数は、全国で535,453件(前年比5.5%減)となったものの、依然として高い水準で推移しています。                        
2021年以降、新型コロナウイルス感染症に伴う各種行動制限の解除を契機として、都市部を中心に犯罪が増加しており、近年は、従来の強盗・窃盗に加え、恐喝、組織的な銃撃事件(シカリオ)、金融・サイバー犯罪等、組織犯罪に起因する事件も継続して発生しています。
 罪種別では、強盗、窃盗及び恐喝等の財産犯が336,430件(前年比9.0%減)と最も多く、その多くは、首都リマ市・カヤオ憲法特別市において集中的に発生しています。なお、これらの件数は警察に届け出があった犯罪のみを集計したものであり、未申告事案を含めると、実際の件数はさらに多いものと考えられます。
 
イ 外国人観光客が被害者となる長距離バス車内での犯罪やタクシー強盗被害が報告されています。具体的には夜間、被害者が気づかないうちに人気のない場所に連れて行かれ、そこで待ち伏せていた強盗犯人が車内に乗り込み、乗客の金品を奪って逃走する手口のほか、運転手や他の乗客から薬物が混入した菓子や飲み物等を勧められ口にした結果昏睡状態となり、所持品を奪われる等の手口が確認されています。長距離バスやタクシーを利用する際は、できる限り夜間の利用を避けるとともに、運転手や乗客の身分確認が徹底されている会社を選び、無登録のタクシー会社や配車アプリに登録していない車両の利用は避けてください。
 
ウ 比較的安全とされているミラフローレス区やサン・イシドロ区等においても、日中から、自動車やオートバイを利用した犯人らによる、強盗やひったくりが多発しています。高級腕時計や貴金属を持つ者の後をつけ、人気の無い場所で襲うといった手口は従来から継続して発生しており、装飾品・携行品には特に注意してください。また、路上や自宅周辺で車内に留まっている者、携帯電話を使用している者、駐車中の車両利用者等を狙った犯行が確認されていることから、短時間であっても周囲への警戒を怠らず、不必要な路上待機や車内での長時間滞在は避けてください。
 
エ 特に携帯電話を使用中の歩行者を狙ったひったくりの発生が急増しており、被害時に抵抗したため犯人から銃撃される事例が多く発生しています。国内で1日あたり5,000件を超える携帯電話の盗難が発生しているとの統計もあります。複数人が役割を分担して被害者の注意をそらして盗む手口や、オートバイを利用して短時間で奪い去る手口も確認されています。外出時には、自身の携帯電話が犯人にとって高価な標的となり得ることを十分認識し、被害に遭った際には絶対に抵抗しないことが重要です。また、携帯電話の盗難増加に伴い、保存された個人情報を悪用したインターネット犯罪も増加しています。歩行中の携帯電話の使用は控え、やむを得ず屋外で使用する場合も、周囲を十分警戒してください。公共交通機関や市場、イベント会場等の混雑した場所では、携帯電話や財布を外から容易に取り出せるポケットに入れないよう注意してください。
 
オ 強盗の手口として、一般人を装った共犯者(連絡役)が市内各所(店舗の出入口、銀行・ATM前、飲食店内、空港の出入口付近等)に配置されており、共犯者が、被害者を物色・選定し、実行犯に連絡するという手法が取られていることから、これまで以上に所持品・携行品は他人から見えない様に携行し、華美な服装は避ける等といった、ターゲットにならないための注意を払う必要があります。特に被害者が金融機関を利用した直後に襲われる事件が多発しています。犯罪者は、携帯電話の操作中、車両への乗降時、ATM利用後や買物後など、周囲への注意が低下する瞬間を狙う傾向があるため、こうした場面では特に周囲を確認し、不自然に接近する人物やオートバイ、同じ人物が継続して付近にいる場合などには注意してください。
 
(2)主な犯罪発生例等
ア 邦人被害例(スリ)ロレト州イキトス市(航空機搭乗からタクシー降車までの間)
リマ、ホルヘ・チャベス国際空港から航空機でイキトス空港に到着後、空港にて流しのタクシーに乗車しホテルへ移動。タクシー料金を支払う際、ショルダーバッグ内に入れていたパスポート入りのポーチがなくなっていた。航空機への搭乗からタクシーを降車するまでの間に盗まれたものとみられる。
 
イ リマ市内での犯罪発生例
(銃撃)リマ市プエンテ・ピエドラ区(走行中の長距離バス)
長距離バス会社「クルス・デル・スール(Cruz del Sur)」のワラス行き旅客バスが、パンアメリカーナ北部幹線道路上において、オートバイに乗車した犯人らから発砲を受け、運転手1名が負傷した(乗客に負傷者なし)。犯人らは連絡先が記載された封筒を現場に残して逃走しており、恐喝目的の犯行である可能性も含め捜査が進められている。同社はこれまで比較的安全性が高いと評価され、リマからパラカス、イカ、ワラス等の主要観光地への路線を運行しており、邦人の利用も多い。
(銃撃)リマ市サン・マルティン・デ・ポレス区(走行中の長距離バス)
長距離バス会社の運転手が走行中に銃撃され重傷を負った。同社は約2か月間で4件の襲撃を受けたことから、安全確保を理由に全路線の運行を無期限停止した。交通事業者を標的とした恐喝・銃撃事件は依然として継続しており、一般の利用者にも影響が及ぶ可能性がある。
 
ウ WhatsAppアカウント乗っ取りを悪用した送金詐欺
WhatsAppアカウントの乗っ取りを悪用し、知人や関係者になりすまして送金を求める詐欺事案が引き続き確認されています。犯人は実在する人物のアカウントを使用し、「両替をしたい」「急ぎで送金してほしい」などと持ち掛け、第三者名義口座への振込みを誘導します。SMSやWhatsAppを利用したフィッシング詐欺やなりすまし詐欺が増加していることから、金銭に関する依頼を受けた場合は、送金前に必ず電話等で本人確認を行うよう注意してください。
 
エ 公的機関・企業等を装った詐欺・犯罪
通信会社、電力会社、警察等の正規の機関・企業を装って相手を信用させる手口が確認されています。具体的には、通信会社を装って「5Gへの更新」等を理由に不正なアプリをインストールさせ、端末を操作できない状態にした上で銀行口座等から不正送金する事案や、電力会社の職員を装い、ロゴ入りの書類、作業員風の服装、車両等を使用して金銭をだまし取る事案が報じられています。また、警察官に似た服装で偽の取締りを装い、走行中の車両を停止させる犯罪も発生しています。制服、ロゴ、身分証、車両等があっても安易に信用せず、不審に感じた場合には、相手から示された連絡先ではなく、各機関・企業の公式窓口を自ら確認してください。また、送付されたリンクからアプリをインストールしないよう注意してください。
 
オ ATMカードすり替え詐欺
商業施設やスーパー等のATM利用者を狙い、銀行カードをすり替えて現金を引き出す詐欺事案が確認されています。犯人らは高齢者や女性に対し、「銀行システムが変更されたので手伝う」などと言って接近し、銀行カードを別のカードとすり替えた上で、口座から現金を引き出していました。銀行利用客を狙った追跡型強盗に加え、ATM利用者を狙ったカードすり替え詐欺等の金融犯罪も確認されています。ATM利用時には見知らぬ人物からの支援を受けず、操作に不安がある場合には銀行職員に直接相談するなど、十分注意してください。
 
カ 違法薬物の密輸や所持
 8月26日、ホルヘ・チャベス国際空港で、日本行きの便に搭乗予定だった日本在住のペルー人家族3人がペルー国家警察麻薬対策局(DIRANDRO)により拘束され、捜査の結果、同人らの鞄の中から菓子類等の食品に偽装されたコカイン合計11.75キログラムが発見されました。
見知らぬ人から荷物の運搬を頼まれ、「航空券や現地のホテル代も自己負担なし」、「食品を運ぶだけで報酬60万円から90万円」、「危ない仕事ではない」などと言われたことから、安易にそれを引き受けた者が、知らないうちに違法薬物の「運び屋」にされ、その結果、空港において警察・税関に逮捕される事案が確認されています。入出国の際、見知らぬ人はもちろんのこと、たとえ知り合いであっても、他人の荷物を安易に運ばないでください。
 
 
3 テロ・爆弾事件発生状況
 アプリマック・エネ・マンタロ川渓谷(VRAEM)地域の一部地域では、引き続き武装組織と治安部隊との衝突が度々発生しています。同地域における非常事態宣言は今後も継続される見通しです。これらの地域に対しては、日本政府としても危険情報のレベル3(渡航中止勧告)を発出していますので、理由の如何にかかわらず立ち入らないでください。
また、9月22日、米国主導の多国間枠組み「米州の盾(Escudo de las Américas)」に参加するペルーを含む15か国が発出した共同声明において、VRAEM地域に残存する「センデロ・ルミノソ」が24の「麻薬テロ組織」の一つに指定されました。
 
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
 ペルーではリマ市を含む各地で、年少者被害の誘拐や、ATMから現金を引き下ろさせる目的の誘拐強盗(短時間誘拐)が発生しています。
 また、富裕層を対象とした脅迫、恐喝、殺人事件が報告されており、深刻な治安上の懸念となっています。こうした犯罪の被害に遭わないためには、日常生活において行動パターンを固定化せず、犯人に行動を予測されないように注意することが極めて重要です。また、リマ市内においても犯罪組織による恐喝事件が急増しており、殺し屋による殺人事件や組織間の抗争に伴う銃撃事件、さらには警察との銃撃戦に至るケースも確認されています。これらの犯罪は、時間・場所を問わず発生し得るという認識のもと、外出時には常に周囲の状況に注意を払い、安全確保に十分留意することが重要です。
 
 
5 長距離バス、観光バスの交通事故、盗難事件等
 ペルーでは、スピード超過、車両整備不良、居眠り運転などが原因となり、中長距離バスや観光バスによる追突事故や転落事故が頻発しています。特に長距離バスでは、運転手の不注意や車体の整備不良等によって重大事故が繰り返されており、報道等によれば、4月~6月の間に少なくとも約15件のバス事故が確認されています。また、車内での窃盗事件も多発していることから、バス利用時はトイレなど短時間の離席の際も、貴重品の管理を徹底することが重要です。可能な限り航空機など他の交通手段を利用されることを強くお勧めするとともに、長距離バス等を利用する際は、以下の点にご注意ください。
(1)夜行長距離バスの利用はできるだけ避ける。
(2)安全管理を徹底していると確認できるバス会社を選ぶ。
(3)車内では常にシートベルトを着用する。
(4)短時間でも離席する際は貴重品の管理を怠らない。
https://www.pe.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_02443.html
 
 
6 ペルーは環太平洋地震帯に位置しており世界の地震活動の約85%が集中する地震・津波多発国です。ペルー地球物理学研究所(IGP)の発表では、2026年8月20日アヤクチョ州パリナコチャ郡を震源地としたマグニチュード7.2の地震が発生しています。また、2026年中にマグニチュード5以下の地震が約686件確認されています。
引き続き規模の大きい地震が発生する可能性も考えられることから、今後も最新の情報を注視してください。
当館ホームページに掲載している「安全の手引き」には、p16~p19「第1章防犯の手引き 8自然災害」およびp24~26「在留邦人用緊急事態対処マニュアル」を記載しています。ご一読の上ご活用ください。
https://www.pe.emb-japan.go.jp/files/100145917.pdf
 
 
7 日本企業の安全に係わる状況
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