ペルー政治情勢 2014年

1月の内政と外交


1 概要
(1)カテリアノ国防相が国会に招致され,政府による軍事機器購入等につき質問が行われた。

(2)ウマラ大統領は,チリとの領海境界線画定にかかるICJに向け,国民の団結と政府への支持を求めるべく,諸勢力との対話を実施した。

(3)チリとの領海境界線画定にかかるICJ判決が下り,新たな境界線が定められると同時に,約5万平方キロメートルの海域がペルーに属することが認められた。

(4)ウマラ大統領は,キューバで開催された第2回CELAC首脳会合に出席した他,リバス外相が太平洋同盟閣僚会合に,ビヤヌエバ首相,カスティーヤ経済財政相等が世界経済フォーラムに出席した。

(5)フィンランド外相が当地を訪問した他,当月末には秋篠宮同妃両殿下がペルーを公式訪問された。

2 内政

(1)カテリアノ国防相の国会招致
 7日,国会本会議は,カテリアノ国防相に対し,政府による軍事機器の購入等につき,41の質問を行った。同国防相は,フランス及び韓国からの軍事機器の購入は政府間協定に基づくものである点を主張すると同時に,購入した機器の精度の高さを述べ,軍事外交の透明性を説いた。なお,国会本会議は同日より2月末日まで休会に入った。

 

(2)ウマラ大統領によるICJ判決に向けた会合
 ウマラ大統領は,27日の判決を前に,国民の団結と政府への支持を求めるべく,諸勢力との対話を実施した。13日には,当地主要報道機関の代表を大統領府に招き,団結と平静を保つよう求めた他,17日には主要政党の代表との事前会合を開催し,政府への支援を呼びかけた。また,この他にも,ビヤラン・リマ市長(17日),ガルシア前大統領及びトレド元大統領との会談(20日)に加えて,主要企業同業団体との会合(22日),及び地方首長等との会合(24日)も実施した。

 

(3)ウマラ大統領支持率(括弧内前月結果)
ア ダトゥム社?@:9〜11日実施,全国(対象1203名)
 支持 31%(31%)  不支持 64%(61%)
イ アポヨ社:14〜17日実施,全国都市部(対象1215名)
 支持 26%(25%)  不支持 66%(69%)
ウ Gfk社:20〜22日実施,リマ首都圏及び全国主要都市(対象1253名)
 支持 26%(22%) 不支持 66%(73%)
エ ダトゥム社?A:28〜29日実施,主要都市(対象650名)(ICJ判決結果を受けた評価)
 支持 49.0%  不支持 43.8%




3 外交

(1)リバス外相の太平洋同盟外相会合出席

 9日及び10日,リバス外相は太平洋同盟外相会合に出席するためにメキシコを訪問した。同会合では,太平洋同盟の協定の手続きを進める事務レベルのグループの活動状況ついて確認した他,2月10日にカルタヘナで開催される次期太平洋同盟首脳会合に向けた調整が行われた。また,リバス外相は,同会合の機会を利用し,グリア経済協力開発機構(OECD)事務局長と会談し,ペルーの同機構における現在の関与状況及びメンバー国としての将来的な加盟の見通しについて話し合った他,オルギン・コロンビア外相との間で,コロンビアとの(ガーナ及びベトナムにおける)大使館の相互利用に関する合意書への署名を行った。

 

(2)フィンランド外相の当地訪問

 13日,ペルーを公式訪問したトゥオミオヤ・フィンランド外相は,両国の関係強化を目指し,ウマラ大統領及びロハス外務副大臣と会談した。同会談では,二国間の投資促進と貿易拡大に向けた,科学,技術,教育における協力と交流について話し合いが行われた他,環境,森林保全,鉱業,再生可能エネルギー,及び治安等のテーマについても触れられた。

 

(3)ビヤヌエバ首相他閣僚の世界経済フォーラム出席

 22〜25日,ビヤヌエバ首相,カスティーヤ経済財政相,メリノ・エネルギー鉱山相,アルバン内相は,ダボス(スイス)で開催された世界経済フォーラムに出席した。23日,ビヤヌエバ首相は,鉱物資源開発に関するセッションに参加した他,ペニャ・ニエト墨大統領,サントス・コロンビア大統領,ラライン・チリ財務相と共に「太平洋同盟の約束」と題するセッションに参加し,同同盟が貧困や社会的格差の是正に向けた経済成長の促進を模索している点を強調した。

 

(4)ペルー・チリ領海境界線画定にかかるICJ判決

 27日,国際司法裁判所(ICJ)において,2008年にペルーが提訴し,2012年12月に口頭弁論が行われた,チリとの領海境界線画定裁判の判決文の読み上げが行われ,ICJはペルーとチリの領海境界線を80海里までは緯線に平行に引き,それ以降は南東にチリの200海里までは中間等距離線に沿って引き,境界線の最終地点はペルーの200海里と交わる地点と定めた。また,領海境界線の始点は,標石1となった。今次判決では,約5万平方キロメートルの海域が新たにペルーに属することが認められ,ペルー側の主張は70%以上が受入れられた。判決後の国民向けの演説の中でウマラ大統領は,この歴史的判決がチリとの関係を友好,信頼,協力に基づく新たな段階に高めるものであり,平和の勝利,及びペルー国民の勝利を意味すると述べた。

 

(5)秋篠宮同妃両殿下のペルー公式訪問

 26〜30日,秋篠宮同妃両殿下は日ペルー外交関係樹立140周年を記念し,当地を公式訪問された。27日には,大統領府にてウマラ大統領夫妻との会談に続き,大統領夫妻主催の歓迎の晩餐会が開かれた他,大統領からは両殿下に対して太陽勲章大十字型勲章が授けられた。この他,今次御訪問で両殿下は,カンポ・デ・マルテにおける日本人ペルー移住百周年碑への献花式,ペルー日系人協会における日ペルー外交関係設立140周年記念式典に御出席された他,国立ラ・モリーナ農業大学,エンマヌエル養護施設及び高齢者のための憩いの家,国立考古学・文化人類学・歴史学博物館,パチャカマック遺跡,民芸品工房,アシエンダにおけるパソ馬,レイェンダス公園及び天野博物館を御視察された。

 

(6)ウマラ大統領の第2回CELAC首脳会合出席

 29日,ウマラ大統領は,キューバで開催された第2回ラ米カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会合に出席し,演説の中で同共同体の統合を推進する意向を示した。また,ウマラ大統領は,同会合のマージンで,サントス・コロンビア大統領,ペニャ・ニエト墨大統領と個別に会談し,二国間関係や太平洋同盟の将来について意見交換を行った他,ピニェラ・チリ大統領とも会談し,領海境界線画定にかかるICJ判決後の対応について協議し,短期的かつ段階的な判決の履行を約束した。さらに,両大統領は,ICJ判決の履行,及びその他の二国間関係に関する課題を進めていくために,近く,ペルー・チリ2+2会合を開催することで合意した。

 

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