ペルー政治情勢 2014年

5月の内政と外交


1 概要
(1)立法府では今次国会最大の懸案事項であった,憲法裁判所判事6名の選出が行われた。

(2)「麻薬なき開発及び生活国家委員会(DEVIDA)」のマシアス委員長が辞任し,後任にオタロラ元国防相が就任した。

(3)リマで第35回ECLAC総会が開催された。

(4)リバス外相はパラグアイ,アルゼンチンを公式訪問した他,メキシコで開催された太平洋同盟閣僚会合にシルバ通商観光相と共に出席した。

(5)米国との間で米ビザ免除プログラムへの参加に向けた協議が開始された。

2 内政

(1)閣僚の国会召喚

 8日,デ・ハビッチ保健相及びハラ労働雇用促進相が国会に召喚され,政府が契約したキューバ人医師(43名)の雇用状況に関して質問が行われた。両大臣は,キューバ人医師の契約は1999年の両国政府間の技術協力協定に基づくものであり,労働契約ではない旨主張するとともに,右医師等は当地では,医学的な診察や外科手術は行わず,当国の医師の養成やアシスタント業務を担当する旨説明した。また,同様に,内務省管轄で,国家行政の地方への浸透・普及を担う地方自治体局に配置された担当官による業務上の不正行為が発覚した件で,アルバン内相が国会に召喚され,同局における不正の防止及び業務改善策について説明を行った。

 

(2)司法関係機関職員のストライキ解除

 10日,国家公務員法にあたる市民サービス法の適用対象の除外を求めて,3月25日よりストライキを継続していた,司法関係機関の職員は,ストの一時中断を発表し,12日より業務が通常化した。

 

(3)エレディア新検事総長の就任

 12日,最高検察庁で,ペラエス検事総長の後任に選出された,ラモス・エレディア新検事総長の就任式が行われた。エレディア検事総長は,就任挨拶の中で,麻薬違法取引,資金洗浄及び一般犯罪対策に重点的に取り組むとともに,汚職によって失われた資金の奪還に取り組む新たな部署を検察庁に設置する旨述べた。

 

(4)アンカシュ州知事の逮捕

 13日,検察庁は,ノラスコ元アンカシュ州議会議員殺害事件に関して,右殺害を首謀したアルバレス・アンカシュ州知事及び本件関係者29名に対する逮捕令を出した。右を受け,一時行方を眩ませていたアルバレス州知事は,16日,国家警察一般犯罪捜査局(DIRINCRI)によって身柄が拘束された。 また,28日,アンカシュ州知事による公金横領等の一連の汚職事件で,本件を調査していたサンタ郡(アンカシュ州)反汚職検事局は,「ラ・セントラリータ」事件(同州知事が中心となって州政府の対抗勢力に対する諜報活動を行っていた問題)で,アルバレス州知事及び同州のサンタ郡長を含む関係者50名の逮捕を命じた。

 

(5)憲法裁判所新判事の選出

 21日,国会臨時本会議にて,任期切れ以降も後任が選出されず職務を遂行していた憲法裁判所(TC)判事6名に代わる新判事の選出が行われ,9名の候補者の中から,議員定数の2/3(87票)以上の票を獲得した6名が選出された。今般の選出で,約4年ぶりにTCの新判事が決定したことになる。6名の新判事は6月より5年の任期で職務にあたる。

 

(6)麻薬なき開発及び生活国家委員会(DEVIDA)委員長の交代

 28日,当国の麻薬対策にかかる政策を担う「麻薬なき開発及び生活国家委員会(DEVIDA)」のカルメン・マシアス委員長の辞任が発表され,後任にアルベルト・オタロラ元国防大臣(フレディ・オタロラ現国会議長の弟)が任命された。

 

(7)ウマラ大統領支持率

ア ダトゥム社:2〜7日実施,全国(対象1290名)誤差±2.7%,信頼度95%

支持 28%(28%)  不支持 67%(67%)

イ アポヨ社:13〜16日実施,全国都市部(対象1210名),誤差±2.8%,信頼度95%

支持 22%(24%) 不支持 72%(60%)

ウ Gfk社:19〜21日実施,リマ首都圏及び全国主要都市(対象1309名),誤差±2.7%,信頼度95%

支持 21%(20%) 不支持 73%(75%)


3 外交

(1)第35回ECLAC(国連中南米カリブ経済委員会)総会のリマ開催

 5〜9日,リマにて第35回ECLAC総会が,「平等のための規約:持続可能な将来に向けて」をメインテーマに開催された。開会式では議長国を代表してウマラ大統領が挨拶を行った他,同総会のハイレベル・セミナーには,リバス外相(総会議長),カスティーヤ経済財政相等の他,ブスタマンテ開発社会包摂相,オモンテ女性社会弱者相,プルガル・ビダル環境相,ゲシ生産相が各パネルの議長として出席した。また最終日のハイレベル対話には,リバス外相の他,エルサルバドル,キューバ,ジャマイカ,コロンビア及びメキシコの外相が出席した。我が国よりは,高野外務省参与,福川駐ペルー大使他が出席した。

 

(2)カテリアノ国防相のイタリア訪問

 6日,カテリアノ国防相は,イタリアを公式訪問し,治安・国防分野における協力の強化を目的にピノッティ伊国防相と会談した。同会談では,軍人の養成と能力向上に向けた取り組み,軍関係機関での経験交流の強化について話し合いを行った。また今次訪問で,カテリアノ国防相は,ペルー空軍大佐と共に,ペルーがイタリアの企業から購入し,空軍が使用予定のC-27J型輸送機の組み立て工場の視察も行った。

 

(3)ナディン・エレディア大統領夫人のチリ訪問

 8日,ナディン・エレディア・ウマラ大統領夫人は,チリで開催された第33回国連農業食糧機関(FAO)ラ米・カリブ地域総会に国際キヌア年(2013年)のFAO特別大使として招待され,同総会の「国際家族農業年(2014年)」に関するパネルに参加した。また,チリ滞在中にナディン夫人は,FAO事務局長の他,バチェレ・チリ大統領とも会談を行った。

 

(4)ペルー・メキシコ政策協議の開催

 9日,ペルーを訪問したミード墨外相は,リバス外相と二国間政策協議を開催した。今次会合で,両国の代表は,治安,保健,社会保障,文化の分野における協力について協議を行った他,本年半ばに行われる予定のウマラ大統領の訪墨について調整を行った。

 

(5)カテリアノ国防相のエクアドル訪問

 9日,カテリアノ国防相は,エクアドルを訪問し,ペルー,エクアドル,コロンビア三ヶ国の国防相による初の会合に参加した。同会合では,国境地帯の住民の生活改善の促進に向けた話し合いが行われた。また,エクアドルの国防相との個別会談の中では,ペルーが韓国との協力で行う予定のKT-1型訓練機の共同制作につき言及し,将来的にペルーが製造した同型の訓練機をエクアドル他,南米諸国に販売する計画につき述べた。

 

(6)ロハス外務副大臣のポルトガル,スペイン訪問

 14〜16日,ロハス外務副大臣は,各国との経済・貿易交流の促進を目指し,ポルトガル及びスペインを公式訪問した。ポルトガルでは,商工会議所主催の投資セミナーにおいて演説を行った他,同国外務省で開催されたペルー・ポルトガル第三回政策協議会合に出席した。また,スペインでは,外務省イベロアメリカ局長と会談し,ペルー国民に対するシェンゲンビサの早期免除,COP20の準備状況などについて触れた。

 

(7)米ビザ免除プログラムへの参加に向けた協議の開始

 21日,ペルー外務省は,米国との間で,米ビザ免除プログラム(VWP)への参加に向けた協議を開始する旨発表した。リバス外相は,右は,国際場裡における良好なペルーのイメージの表れであると同時に,米国との関係が非常に良い時期に達していることが認められた結果である旨述べた。なお,右協議の開始は,同プログラムへの参加に向けた重要な第一歩であり,参加承認までは年数を要する見通しである。

 

(8)リバス外相のパラグアイ,アルゼンチン訪問

 22日,リバス外相は,パラグアイを公式訪問し,カルテス・パラグアイ大統領及びロイサガ・パラグアイ外相と会談を行った。カルテス大統領との会談では,近い将来のペルー訪問を招請する意を表明したウマラ大統領の書簡を手渡した。また,ロイサガ外相との会談では,二国間の協力及び貿易に関する関係を強化,発展させる方向性を示した共同宣言が署名された。 23日には,アルゼンチンを訪問し,ティメルマン亜外相と会談を行い,両外相は二国間関係の活性化,両国間の対話メカニズム及び協力の再強化に向けた共同宣言に署名した他,在亜ペルー人に対する厚生分野での便宜供与を決定した。

 

(9)リバス外相及びシルバ通商観光相の太平洋同盟閣僚会合出席

 30日,リバス外相及びシルバ通商観光相は,メキシコで開催された第11回太平洋同盟閣僚会合に出席した。同会合では,右に先立ち行われた専門家会合及び高級実務者会合(GAN)での協議の結果を踏まえた上で,メキシコのプンタ・ミタで6月に開催される次期首脳会合の議題案等を決定するための話し合いが行われた。なお,29日及び30日に開催されたGAN会合には,ロハス外務副大臣が出席した。

 

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