ペルー政治情勢 2014年

8月の内政と外交


1 概要
(1)国会でハラ首相による所信表明演説が行われ,通算3度目の投票により同内閣が辛うじて信任された。

(2)5名の国会議員の会派変更が生じた結果,与党国民主義・勝利するペルー会派が36議席に減り,野党第一党の人民勢力会派(フジモリ派)と同数になった。

(3)外交面では,ウマラ大統領がサントス・コロンビア大統領就任式出席のためにコロンビアを訪問した他,オルギン・コロンビア外相がペルー・コロンビア二国間首脳会合の準備のために当地を訪問した。

(4)ウマラ大統領は,ペルー・チリ間の新たな領海境界線図を公布した。同図には陸上国境も表示されているところ,チリ側は陸上国境の開始地点について異なる見解をとっているため,同図に対する抗議の意を表明した。

2 内政

(1)国会議員の会派変更

 3〜6日,5名の議員が所属会派の変更を正式表明した。

ハイメ・デルガド議員(3日):国民主義・勝利するペルー→無所属

ルルデス・アルコルタ議員(5日):地域同盟→議会の協調

ガブリエラ・ペレス・デ・ソラール議員(5日):地域同盟→議会の協調

ホルヘ・リマラチン議員(5日):人民行動・拡大戦線→尊厳と民主主義

ロサ・ヌニェス議員(6日):国民連帯→議会の協調

 

(2)テロ関連組織幹部等の釈放

 5日,リマ高等裁判所全国テロ法廷は,テロ犯罪等の容疑で,本年4月に国家警察テロ対策局により逮捕・拘留された,「恩赦と基本的権利のための運動(MOVADEF)」の幹部等28名のうち8名について,審理の結果,拘留に値する証拠が不十分であるとの判断を下した。これにより,同組織の中心人物でテロ組織センデロ・ルミノソ(SL)のアビマエル・グスマンの弁護士であるアルフレド・クレスポ弁護士,マヌエル・ファハルド弁護士等を含む8名が釈放された。

 

(3)ハラ首相の所信表明演説及び信任投票

 20日,国会本会議にて,アナ・ハラ首相の所信表明演説が行われ,通算3度目の投票により,同内閣が信任された。同首相の演説は,教育,保健,治安,投資促進,汚職対策の5つの点に重点が置かれた。また,信任にかかる投票では,第一回,第二回目の投票で,棄権票が賛成・反対両票を上回ったため,再三に亘り議会を中断し,与野党交渉が行われ,26日に行われた第三回目の投票で,可否同数の中でソロルサノ国会議長の決定票により同内閣の信任が辛うじて成立した(賛成55,反対54,棄権9)。

 

(4)国会委員長ポスト及び国会内会派議席数の決定

 21日,現国会4年目(2014−2015年)の国会内会派の議席数及び常設委員会委員長ポストが以下の通りに決定した(括弧内は委員長ポスト数)。

 国民主義・勝利するペルー:36議席(7)

 人民勢力(フジモリ派):36議席(7)

 ペルー・ポシブレ:11議席(2)

 人民行動・拡大戦線:9議席(2)

 議会の協調:9議席(2)

 国民連帯:7議席(1)

 キリスト教人民・進歩のための同盟:7議席(1)

 尊厳と民主主義:7議席(1)

 地域同盟:6議席(1)

 

(4)ウマラ大統領支持率(括弧内は前月結果。CPI社については6月結果)

ア ダトゥム社:1日〜5日実施,全国(対象1208名)誤差±2.8%,信頼度95%

 支持 32%(24%) 不支持 64%(70%)

イ イプソス・ペルー社:12〜14日実施,全国都市部(対象1247名),誤差±2.8%,信頼度95%

 支持 29%(25%) 不支持 65%(68%) ウ CPI社:16〜21日実施,全国主要都市(対象1450名),誤差±2.6%,信頼度95.5%

 支持 25.8%(21.4%) 不支持 71.0%(75.3%)

エ GfK社:24〜27日実施,リマ首都圏及び全国主要都市(対象1499名),誤差±2.5%,信頼度95%

 支持 26%(22%) 不支持 69%(72%)


3 外交

(1)ウマラ大統領のコロンビア訪問

 7日,ウマラ大統領はサントス・コロンビア大統領の就任式出席のため,コロンビアを訪問した。また,ウマラ大統領は,同地滞在中のファン=ロンパイ欧州理事会議長及びモゲリーニ伊外相と会談を行い,ペルー人に対するシェンゲン・ビザ免除プロセス等につき話し合った。

 

(2)ペルー・チリ間の新たな領海境界線図の公布

 19日,ペルー政府は,本年1月27日のチリとの領海境界線画定にかかるICJの判決及びその後に実施された領海境界線確定にかかる両国の合同作業グループの報告書(2014年3月25日提出)に従い,両国の領海境界線を定める新たな基線法(30223号)が公布されたことを受け,新たにこれらの結果を反映した「ペルー南部の領海境界線図」を公布した。同地図の中でペルー側は,両国の陸地の境界線の始点を「コンコルディア地点」であることを示したが,これに対してチリ側は同始点は「標石1」であるべきとして抗議の意を表明した。

 

(3)オルギン・コロンビア外相の訪問

 21日,オルギン・コロンビア外相が,9月30日にペルーのロレト州イキトス市で開催予定のペルー・コロンビア二国間首脳会合及び第一回二国間閣僚会合の準備のためリマを訪問し,グティエレス外相と会談を行った。二国間閣僚会合は,二国間協力を強化し,また特に国境付近に在住する両国民に裨益する分野別の政策方針及び共同プロジェクトを打ち出すことを目指す。

 

法的事項 | アクセシビリティについて | プライバシーポリシー |