ペルー政治情勢 2014年 9月の内政と外交 1 概要
(2)国会では,マヨルガ・エネルギー鉱山相の問責決議が否決された他,第二次ガルシア政権期の汚職疑惑に関する報告書のうち「リマ上下水道公社(SEDAPAL)問題」の審議が行われた。 (3)ペルー・チリ間の領海境界線確定判決を受けてペルー側が発表した地図の陸上部分の表記に対して,チリ政府から抗議文書が送付された。 (4)ウマラ大統領はニューヨークで開催された第69回国連総会及び国連気候サミットに出席した。 (5)ウマラ大統領及びサントス・コロンビア大統領出席の下,第一回ペルー・コロンビア合同閣議がイキトス市で開催された。
(1)カスタニェダ・リマ市長候補の出馬の可否問題 1日,特別選挙管理委員会(JEE)は,リマ市長選挙に出馬中のカスタニェダ候補が立候補申請書類の学歴を詐称したとして,同候補の出馬の却下を宣告した。これに対して,カスタニェダ候補側(国民連帯党)が右宣告を全国選挙審査会(JNE)へ上訴した結果,6日,JEEの宣告を無効とする判決(詐称ではなく技術的誤記であったとするもの)が下り,カスタニェダ候補は再び選挙戦へ復帰した。(その後,リマ市長に当選。)
(2)経済財政相の交代 14日,カスティーヤ経済財政相が辞任し,後任にセグラ(Alonso SEGURA Vasi)経済財政相首席顧問が就任した。なお,今次辞任については,個人的な理由とされており,特に家族(娘)のためであると伝えられている。新大臣に就任したセグラ経済財政相は,最初の会見で,来年度以降の経済成長率が6%に回復するよう新たな方策の検討を行っていく旨表明した。
(3)来年度政府予算案にかかる国会説明 10日,ハラ首相及びカスティーヤ経済財政相(当時)は来年度予算案の内容にかかる国会説明を行った。今回提出された予算案総額は,前年比9.8%増の1,306億2,129万ソル(約466億5,046万ドル(1米ドル=2.80ソル))で,7月の大統領教書演説で宣言したとおり,特に教育(前年比22.7%増),保健(同22.7%増)及び社会的保護(同19.5%増)分野で予算を大幅増額した。
(4)マヨルガ・エネルギー鉱山相の国会召喚 12日及び22日,国会本会議はマヨルガ・エネルギー鉱山相を召喚し,同大臣のロビー活動及び大臣就任以前にコンサルタントを務めていたInteroil社の石油採掘にかかる契約更新への関与問題等について61の質問を行った。同質疑を受け,23日,フジモリ派を中心とする野党が,同大臣に対する問責動議を国会に提出。30日に国会本会議にて同大臣の問責決議が行われた結果,決議は否決された(賛成38,反対36,棄権6。なお,可決には議員定数の過半数の66票が必要)。
(5)第二次ガルシア政権期の汚職疑惑に関する報告書の審議 25日,国会本会議で,国会第二次ガルシア政権汚職調査委員会(通称「メガコミッション」)が提出した9件の報告書のうち,リマ上下水道公社(SEDAPAL)問題(上下水道事業に際しての資金の不正使用,入札業者及び入札関与者による不正蓄財)に関する報告書の審議・投票が行われ,国会は,本件に関する検察の捜査及び本件に関与したとされる当時の国会住宅上下水道委員会委員長(アプラ党のエレラ議員)並びにSEDAPAL職員4名を弾劾にかけることを提案する右報告書を承認した(賛成73票,反対7票)。
(6)ウマラ大統領支持率 ア ダトゥム社:6日〜10日実施,全国(対象1209名),誤差±2.8%,信頼度95% 支持 30%(32%) 不支持 65%(64%) イ イプソス・ペルー社:9〜11日実施,全国都市部(対象1214名),誤差±2.8%,信頼度95% 支持 25%(29%) 不支持 68%(65%) ウ GfK社:21〜23日実施,リマ首都圏及び全国主要都市(対象1499名),誤差±2.5%,信頼度95% 支持 27%(26%) 不支持 68%(69%)
(1)ペルー・チリ間の領海境界線確定にかかる地図に対するチリ政府からの抗議文書 1日,チリ政府は,ウマラ大統領が領海境界線確定判決を受けて8月に発表した,ペルー南部の領海境界線を示した地図に対して留保を求める二通目の外交文書を送付したことを明らかにした。これを受け,グティエレス外相は,2日,チリからの同文書に対して適切な答えを出すべく検討している旨述べるとともに,「陸地の三角形」をめぐる論争は,対話,和解及び法の遵守を通じて解決されるべきである旨主張した。
(2)ウマラ大統領の第69回国連総会出席 22〜27日,ウマラ大統領は第69回国連総会に出席のためニューヨークを訪問し,25日に一般討論演説を行った他,23日には国連気候サミットに出席し,潘基文国連事務総長とともに議長を務めた。また,同地滞在中ウマラ大統領は,張高麗中国国務院常務 副総理,オランダのマキシマ王妃,ソリス・コスタリカ大統領,エルナンデス・ホンジュラス大統領,ヨルダン国王アブドッラー2世及びグリアOECD事務局長等とそれぞれ会談を行った。
(3)第一回ペルー・コロンビア合同閣議の開催 30日,イキトス市(ロレト州)にて,第一回ペルー・コロンビア合同閣議が開催され,両国の首脳及び閣僚が出席した。同会合では,社会問題及び持続可能な発展,貿易・経済発展,治安・国防,国境問題にかかる二国間のロードマップとなる,「イキトス宣言」が発表された他,鉱業,農業,労働,環境,防災,スポーツ,教育等の分野における二国間協力にかかる11件の協定への署名が行われた。
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