ペルー政治情勢 2014年
10月の内政と外交
1 概要
(1)全国統一地方選挙が行われた。リマ市長選挙では,カスタニェダ前リマ市長(国民連帯党)が50%以上の得票で圧勝し,国民連帯党が市内17区の区長選で勝利した。
(2)また,北部のラ・リベルタ州及びランバイエケ州で進歩のための同盟党のアクーニャ兄弟が勝利した他,カハマルカ州ではサントス州知事が再選された。
(3)保健省傘下の医療従事者によるストが150日ぶりに全面解除となった。
(4)国会ではデ・ハビッチ保健相及びウレスティ内相が召喚され追及が行われた他,地方首長の連続再選禁止にかかる憲法改正案(第一回投票)が可決された。
(5)アレキパ市で第11回米州国防大臣会合が開催された。
(6)ウマラ大統領は第8回ペルー・エクアドル合同閣議出席のためエクアドルを訪問した。
(7)当国へはシャーマン米国務次官,アストリッド・ベルギー王女及びティメルマン・亜外相が訪問した。
2 内政
(1)全国統一地方選挙の実施
5日,全国統一地方選挙が実施された。リマ市長選挙では,カスタニェダ前リマ市長(国民連帯党)が50%以上の得票で圧勝し,リマ市内区長選挙でも国民連帯党が全42区のうち17区で勝利した。
また,州知事選挙では全国25州のうち11州で当選が確定し,北部の2州(ラ・リベルタ州,ランバイエケ州)で「進歩のための同盟」党のアクーニャ兄弟が勝利した他,カハマルカ州ではサントス州知事が再選された(なお,現在収賄容疑で捜査が行われているサントス候補は,14か月の予防拘禁で収監中であるため,明年1月1日以降当面はメディーナ副知事が州知事を代行。)。なお,残る14州では,いずれの候補も当選に必要な有効票の30%を獲得しなかったため,上位2名による決選投票が行われる。
(2)保健省傘下の医療従事者によるストライキの全面解除
9日,ペルー医師連盟は,5月より賃上げを要求してストライキを継続してきた保健省(MINSA)傘下の医療従事者との最終交渉の妥結を発表し,150日ぶりに同ストライキが全面解除となった。
(3)内相及び保健相の国会召喚
22日,国会本会議はデ・ハビッチ保健相を召喚し,先般解除となった医療従事者のストが長引いた理由や保健分野で推進している官民連携事業等に関して18件の質問を行った。また,23日には,ウレスティ内相を召喚し,犯罪対策及びリマ北部バランカ郡での麻薬押収にかかる誤認問題等の42件の質問を行った。
(4)地方首長の連続再選禁止にかかる憲法改正案の可決
23日,国会本会議は,地方首長(州知事,市長,町長)の連続再選禁止を提案した憲法改正案を可決した(賛成97,反対0,棄権10)。なお,憲法改正には,議員定数の2/3以上(87票)の賛成を,(1年のうち2期ある通常会期の)連続する2会期の本会議で得る必要があるため,本法案の成立には,明年始まる次期通常会期で二度目の投票を行い再度可決される必要があり,同改正が成立すれば2018年の統一地方選挙から適用される。
(5)ウマラ大統領支持率
ア ダトゥム社:11〜14日実施,全国(対象1284名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 33%(30%) 不支持 61%(65%)
イ イプソス・ペルー社:14〜16日実施,全国都市部(対象1211名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 27%(25%) 不支持 64%(68%)
ウ GfK社:19〜22日実施,リマ首都圏及び全国主要都市(対象1200名),誤差±3.0%,信頼度95%
支持 25%(27%) 不支持 67%(68%)
3 外交
(1)ガルシア・サヤン元米州人権裁判所長のOAS事務総長選立候補取り下げ
1日,8月にOAS事務総長選挙への立候補を正式表明したガルシア・サヤン元米州人権裁判所長(元法相及び外相)は,ペルー政府からの支持が十分に得られなかったことを理由に,立候補を辞退する意向を発表した。
(2)グティエレス外相の米国訪問
8日,米国を訪問したグティエレス外相は,ケリー国務長官と会談を行った。同会談では,自由貿易協定の発効から5年目を迎えた両国の貿易状況について触れられた他,グティエレス外相からは,ペルーの米ビザ免除プログラム(VWP)参加に向けた手続き促進についてのペルー側の希望を伝えた。またグティエレス外相は,ウマラ大統領がオバマ大統領に宛てたペルー訪問にかかる招待状をケリー国務長官に手渡した。
(3)第11回米州国防大臣会合の開催
12日〜14日,アレキパ市において第11回米州国防大臣会合が開催され,米州34か国の国防大臣及び代表に加えて,オブザーバーとしてスペイン及びポルトガルの国防大臣が参加した。また,最終日には参加国の国防大臣及び代表が,米州地域の統合,安定及び平和に向けた「アレキパ宣言」の署名を行った。なお,ウマラ大統領は,同会合の枠組みで,ヘーゲル米国防長官と会談し,二国間協力について話合いを行った他,カナダのニコルソン国防相との会談では,国防及び治安分野における両国の関係強化に向けた話合いを行った。
(4)シャーマン米国務次官の当地訪問
21〜22日,シャーマン米国務次官は当地を訪問し,ウマラ大統領及びグティエレス外相と会談を行った。ウマラ大統領との会談では,米国との治安・防衛協力協定及び査証免除プログラムへの署名につき意見交換した他,違法伐採に関する状況,COP20及び学術交流プログラムにつき話し合いを行った。また,グティエレス外相との会談では,特に違法伐採対策における米国との協力の可能性及び情報交換を通じたエボラウィルス対策の協力につき討議した。
(5)アストリッド・ベルギー王女の当地訪問
23日,ベルギーのアストリッド王女が当地を訪問しウマラ大統領と会談を行った。会談の後,アストリッド王女及びウマラ大統領同席の下,国家奨学金教育貸付プログラム(Pronabec)とベルギーの高等研究教育アカデミー(ARES)の間で奨学金給付協定が署名された。
(6)ティメルマン亜外相の当地訪問
24日,ティメルマン亜外相が当国を訪問し,グティエレス外相と会談を行った。両外相は,両国の歴史的な友好及び協力関係を強調するとともに,同会談では,文化,麻薬対策,移民,教育を始めとする両国の主要課題及びUNASURやCELAC等の地域的なテーマについて触れた共同宣言への署名が行われた。
(7)ウマラ大統領他の第8回ペルー・エクアドル合同閣議出席
30日,エクアドルで第8回ペルー・エクアドル合同閣議が開催され,ペルーからウマラ大統領及びグティエレス外相他の閣僚が出席した。会合に出席した両国首脳は,二国間の統合と協力の強化に向けた約束を再確認した他,同閣議では,5つの基軸分野(治安・防衛,社会,生産・貿易・投資・観光,環境・鉱業・エネルギー,インフラ・連結)における取り組みについて話し合いが行われた。
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