ペルー政治情勢 2014年

12月の内政と外交


1 概要
(1)2015年度予算が公布された。

(2)統一地方選挙決戦投票が行われた。

(3)青年労働法が施行され,同法施行の影響を受ける若者が抗議デモを行った。

(4)ラモス・エレディア検事総長が6か月の職務停止となった。

(5)リマ市においてCOP20が開催された。
(6)ウマラ大統領は,COP20出席のため当地滞在中の各国首脳者,国際機関の長と会談を行った。


2 内政

(1)2015年度予算の公布  前月29日,国会にて可決されていた2015年度予算が4日,公布された。


(2)統一地方選挙決選投票
7日,同年10月の統一地方選挙で有効投票数に満たなかった14州において決選投票が行われた。地方勢力の候補が大多数(19/25州)で当選を果たし,国会に議席を有する全国政党は苦戦を強いられたものの,人民勢力党が3州で勝利した。

(3)青年労働法施行と抗議デモ  国会本会議において青年労働法案の審議が行われ,4日に第1回投票が,11日に第2回投票が行われ,可決・成立し,16日に施行された。「若年層労働者(18〜24歳)の雇用と社会保障へのアクセスを促進する」ことを目的とする同法の影響を受ける学生を中心とした若者が,今次法施行は労働者の権利を奪うものであるとして,18日,22日及び29日に抗議デモを行った。

(4)ラモス・エレディア検事総長の職務停止とサンチェス検事総長代行の任命  全国司法審議会(CNM)は,31日付でラモス・エレディア検事総長を職務停止に処する旨通達し,2015年1月5日,サンチェス最高検事が検事総長代行に就任した。ラモス・エレディア検事総長は1月8日,CNMに対し処分の再審を請求した。

(5)大統領支持率
ア ダトゥム社:5〜9日実施,全国(対象1202名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 32%(33%) 不支持 64%(62%)
イ イプソス・ペルー社:10〜11日実施,全国(対象1231名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 30%(25%) 不支持 64%(67%)
ウ GfK社:14〜18日実施,全国(対象1191名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 23%(24%) 不支持 71%(71%)

 


3 外交

(1)COP20開催とウマラ大統領の動き
 1〜12日,COP20が開催された。ウマラ大統領は同会議開催に合わせて当地訪問中の各国首脳及び国際機関の長と会談を行った。

ア ラガルドIMF専務理事との会談(2日)
世界経済がラテンアメリカ及びペルー経済に与える影響,また経済成長を国民へ還元するための政策につき意見交換を行った。ウマラ大統領は,2015年には,鉱山プロジェクト重要案件への投資プロジェクトが開始,南部ガスパイプライン(Gaseducto Sur Peruano)敷設工事,タララ製油所の近代化を始めとするインフラ整備のための投資が継続,同様に社会政策の強化拡張も予定していると述べた。また,ウマラ大統領は,リマ市で開催予定のIMF・世銀総会及び国内経済政策に対するIMFの協力に対し感謝の意を述べるとともに,IMF・世銀総会成功に向け最大限の努力をすると表明した。

イ モラレス・ボリビア大統領との会談(9日)
二国間にまたがる生態系及び水資源の保全,国境警備,投資促進と保護協定の有効性,イロ港の共同利用が俎上に上った。特に麻薬,違法鉱業,密輸,森林減少,汚染,人身売買は両国が協力して対処しなければならない問題である点,また,両国国境地帯は,都市拡大やインフォーマル違法金採掘という二つの要因により環境が悪化しており,地域住民と農牧畜生産に悪影響を及ぼしている点が議題となった。また,ボリビアは,ペルー企業にとって重要な投資先であり,ボリビアにとってもペルーは第6位の投資国である点言及された。

ウ 太平洋同盟(10日)
 太平洋同盟加盟国(ペルー,チリ,メキシコ,コロンビア)大統領は,気候変動に関する共同宣言を行った。ウマラ大統領は,同宣言は太平洋同盟が地球温暖化問題に取り組む政治的意思の現れであり,その具体的取り組みとして,加盟国間での気候変動に関する研究ネットワークを構築し,地球温暖化対策における主役を太平洋同盟が担う考えであると述べた。

エ ケリー米国務長官との会談(11日)
ウマラ大統領は,米国によるペルー人学生に対する高等教育機会の提供に感謝の意を伝え,今後も充実した教育システムの推進に向け両国がカウンターパートとして協働していくことを再確認した。その他,麻薬組織撲滅に向けた二国間協力と自由貿易協定を活用していく点が話題となった。

オ ファビウス仏外相との会談(11日)
 国防,司法,教育及び投資分野での二国間協力拡大,COP20,フランス開発庁創設,2015年3月に予定されているオランド大統領のペルー訪問,仏資本のペルー国内への投資増加,シェンゲン領域における査証免除プログラムについて議論が交わされた。

カ 潘基文国連事務総長との会談及び共同宣言(12日)
ウマラ大統領は,2015年にパリで開催されるCOP21に向けCOP20が地球温暖化対策での一里塚となることを期待していると述べた。潘事務総長は,COP20におけるウマラ大統領のリーダーシップと成果を評価した。
また,国連の治安維持活動が議題となった際,ペルー政府によるアプリマック・エネ及びマンタロ川渓谷(VRAEM)地域などにおける,暴力とコカ葉違法栽培の抑制と同地域住民生活の持続可能性実現に向けた取り組みを継続することが強調された。

会談後に行われた潘事務総長との共同宣言の中で,ウマラ大統領は,国立氷河山岳生態系研究所(Instituto Nacional de Investigacion en Glaciares y Ecosistemas de Montana)を創設する法律を公布したと発表した。同研究所では,氷河山岳環境下での開発と保全のための研究が行われ,氷河後退など同様の問題を抱える周辺アンデス諸国の研究参加も想定されている。

 


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