ペルー政治情勢 2015年

4月の内政と外交


1 概要

(1)カテリアノ国防相が新首相に任命された他,新たに3名の大臣が任命された。
(2)カテリアノ首相による所信表明演説が行われ,内閣が国会の信任を得た。
(3)2016年大統領選挙に向け「左派勢力連合進歩主義同盟」の結成が発表された。
(4)国会第2次ガルシア政権汚職調査委員会(通称「メガ・コミッション」)が3件の調査報告書を国会に提出し賛成多数で可決された。
(5)ティア・マリア銅山に対する無期限ストライキで治安部隊と抗議者の衝突が発生し,死者1名,負傷者約20名が出た。
(6)無所属議員の会派変更により,尊厳と民主主義が国会第4の会派に躍進した。
(7)ウマラ大統領が第7回米州首脳会議に出席し,本会議での演説,米国企業家等との会合を行った。
(8)朴槿惠韓国大統領がペルーを訪問し,軍用機共同生産式典への参加等を行った。
(9)ウマラ大統領がチリによるペルーに対する諜報疑惑の追求を終結する旨宣言した。

2 内政
(1)カテリアノ内閣の発足と信任
ア 2日,3月30日のハラ内閣不信任案の可決を受け,内閣総辞職の伝達及び新内閣の任命式が行われ,カテリアノ国防相が新首相に任命された他,新たに以下3名の大臣が任命された。
外相:アナ・マリア・サンチェス(外務大臣補佐官より)
国防相:ジャッケ・バラキビ(国防相官房担当副大臣より)
法務人権相:グスタボ・アドリアンセン(法務人権省法務担当副大臣より)

イ 27日,国会本会議にて,カテリアノ首相による所信表明演説が行われ,質疑応答を経た後の投票で信任を得た(賛成73,反対10,棄権39)。カテリアノ首相による所信表明演説は,経済政策,社会政策,汚職及び治安対策の3つの柱に沿って行われた。所信表明演説内で,政策の実施を加速させることを目的に,3分野における行政府への立法権委譲を国会に求めた点に複数の野党から批判が集中した他,最大野党である人民勢力党からは,カテリアノ首相がウマラ大統領夫妻から独立性を保つことができるのかにつき追求する声が上がった。

(2)新左派連合の結成
 9日,左派政治家が2016年大統領選挙に向け「左派勢力連合進歩主義同盟(Coalicion Progresista Union de Fuerzas de Izquierda:CPUFI)」と称する新たな左派連合を結成した。同連合には,シモン人道主義党党首(元首相),レルネル元首相,ビジャラン前リマ市長を始めとする左派主要政治家が名を連ねている。

(3)国会第2次ガルシア政権汚職調査委員会による調査報告書の提出  16日,国会第2次ガルシア政権汚職調査委員会(通称「メガ・コミッション」)が,空軍用地の違法売買,アプラ党関係者の不正蓄財,"One Laptop per Child"等5件の不正疑惑を1件の調査対象にまとめた通称"casos complementarios"の3件に関する調査報告書を国会に提出し,いずれも賛成多数で可決された。本3件に関する調査報告書の提出により,既に提出済みであった4件と合わせ,全9件のうち,7件に関する調査報告書が出揃った。

(4)社会紛争
 22日,3月23日から継続中のティア・マリア銅山(アレキパ州)に対する無期限ストライキで治安部隊と抗議者が衝突し,抗議に参加していた地元農家1名が死亡した他,約20名の負傷者が発生した。

(5)国会議員の会派変更
ア セルヒオ・テハーダ議員(23日):無所属→尊厳と民主主義
イ ハイメ・デルガード議員(23日):無所属→尊厳と民主主義
 上記の会派変更により,尊厳と民主主義は,国会で10議席を有することになり,人民勢力(35),国民主義・勝利するペルー(33),ペルー・ポシブレ(11)に続く第4の会派に躍進した。

(6)大統領支持率(括弧内は前月の数値)
ア ダトゥム社:3月27日〜30日実施,全国(対象1200名),誤差±2.8%,信頼度95% 支持 27%(28%) 不支持 67%(67%)
イ イプソス・ペルー社:4月14〜17日実施,全国(対象1204名),誤差±2.8%,信頼度95% 支持 27%(25%) 不支持 65%(68%)
ウ GfK社:4月18〜21日実施,リマ首都圏及び全国主要都市(対象1200名),誤差±2.8%,信頼度95% 支持 24%(25%) 不支持 72%(68%)

3 外交
(1)ウマラ大統領の第7回米州首脳会議出席(10〜11日)
ア パナマで開催された第7回米州首脳会議に出席したウマラ大統領は,本会合で,貧困,飢餓,格差の解決等に関する演説を行った他,次回(2018年)米州首脳会議ホスト国を受諾する旨表明した。
イ ウマラ大統領は,首脳会議のマージンで,太平洋同盟のメンバー国である,コロンビアのサントス大統領及びメキシコのペニャ大統領との会談,ペルーでの事業に関心を示している米国商工会議所会員企業とのワーキング・セッション,フェイスブックのCEO(創設者)であるマーク・ザッカーバーグ氏との会談を行った。

(2)朴槿惠韓国大統領の訪問
 19〜21日,当地を訪問した朴大統領は,ウマラ大統領との二国間関係に関する会談,電子政府,電力産業,医療分野,科学・技術・イノベーション・クリエイティブ経済,税関運営の近代化の5分野における二国間協力覚書への署名を行った他,ペルー・韓国企業フォーラム及び軍用機共同生産記念式典に出席した。

(3)チリによるペルーに対する諜報疑惑追求の終結宣言
 28日,ウマラ大統領は,ペルー政府が告発したチリ軍関係者によるペルー海軍士官に対する諜報に関し,チリ政府より明示的な謝罪を得たため,本件追求の終結と段階的な外交関係の正常化を行う意向を表明した。チリ政府も本件の決着に満足している旨表明した。

 

 


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