ペルー政治情勢 2015年 7月の内政と外交 1 概要
(1)サンチェス検事総長代行が新検事総長に選出された。
(1)新検事総長の選出 (2)国会ベラウンデ・ロッシオ容疑者調査特別委員会 ア 14日,ナディン・エレディア大統領夫人(以下ナディン夫人)が国会ベラウンデ・ロッシオ容疑者調査特別委員会に召喚された。ナディン夫人は,同委員会の会合を報道陣に公開することを求めたが,人民勢力会派等が強く反対したため,最終的には通常どおり非公開で開催された。 イ 15日,ナディン夫人の実弟で資金洗浄への関与が疑われるイラン氏がベラウンデ・ロッシオ容疑者調査特別委員会に召喚され,自らが代表を務めるトド・グラフ社を通じた資金洗浄への関与を否定した。 (3)次期大統領候補の動向等 ア 17日,与党国民主義党の次期大統領候補となる可能性があるとされるウレスティ前内相は,1988年,「カレタス」誌のブスティオ記者が,センデロ・ルミノソの協力者であるとの疑義をかけられた末,軍の反テロ対策部隊に殺害された事件の公判に被告として出廷した。ウレスティ前内相は関与を全面的に否定している。 イ 20日,検察庁は,トレド元大統領及び関係者が資金洗浄を通じ国内の高額物件を購入したとされる疑惑(通称「エコテバ」事件)に関する起訴状を地方裁判所に提出した。検察は,トレド元大統領及び関係者の資産差し押さえ,海外に所有する口座情報の開示,出国制限等も併せて請求している。リマ地方裁は起訴について近日中に決定を下す見込み。トレド元大統領は,検察の起訴に向けた動きは自身の大統領選挙への立候補を妨害するための政治的策略によるものであるとし,保護請求を申請する意向を示している。 ウ 30日,第2次ガルシア政権中,麻薬取引による服役囚に対し金銭を見返りとした不当な減刑・恩赦が行われたとする問題(通称"narcoindulto")に関する公判が開始され,主犯格とされるファクンド元法務人権省大統領恩赦委員長(元アプラ党国会議員)他13名が,被告として出廷した。検察は,ファクンド被告が恩赦委員長を務めていた時代に886名が減刑措置を得たという見解を示すと同時に,同委員長に対する17年の禁錮刑を請求した。 (4)非常事態宣言の解除 20日,ティア・マリア銅山開発プロジェクト反対運動の過激化に伴い,5月22日から60日間の期限で,ペルー南部アレキパ州イスライ郡全域に発令されていた非常事態宣言が解除された。22日,カテリアノ首相は,非常事態宣言は解除したものの,当面の間は軍の派遣を継続し,警察による治安維持活動の補助を行う方針を示した。 (5)新国会議長の選出 26日,国会執行部選挙(任期2015年7月26日〜2016年7月26日)が行われ,キリスト教人民・進歩のための同盟会派のイベリコ議員を議長候補とする野党連合リストが,15票差で対立候補のセバーヨス議員を議長とするもう一方の野党リストを破って,新国会議長に選出された。新国会執行部の顔ぶれは以下のとおり。 国会議長 ルイス・イベリコ(キリスト教人民・進歩のための同盟) 第一副議長 ナタリー・コンドリ(尊厳と民主主義) 第二副議長 マリアノ・ポルトガル(地域同盟) 第三副議長 ルイス・ガラレタ(キリスト教人民・進歩のための同盟) (6)独立記念日の大統領教書演説 28日,ウマラ大統領は,政権最後の大統領教書演説を社会政策,教育,保健・医療,インフラ,経済,治安及び外交のテーマに従って行った。今次教書は政権最後の教書ということもあり,これまでのウマラ政権の取組をまとめた内容が中心となったが,今後一年間で取り組む新たな政策についても一部言及があった。 (7)国会議員の会派変更等 ア セリア・アニカマ議員(26日):国民主義・勝利するペルー→尊厳と民主主義 イ カリーナ・ベテタ議員(27日):人民勢力会派所属議員として宣誓(6月に議員資格を剥奪されたヨベラ議員の補欠) 上記変更の結果,尊厳と民主主義会派は議席数を11に伸ばし,ペルー・ポシブレ会派と並ぶ国会第3の勢力となった。国民主義・勝利するペルー会派は1議席減の32議席,人民勢力会派は1議席増の36議席となった。 (8)大統領支持率 ア ダトゥム社:3日〜7日実施,全国(対象1200名),誤差±2.8%,信頼度95% 支持 18%(14%) 不支持 77%(82%) イ イプソス・ペルー社:14〜17日実施,全国(対象1234名),誤差±2.3%(一部±2.8%),信頼度95% 支持 19%(17%) 不支持 74%(76%) ウ GfK社:18日〜23日実施,リマ首都圏及び全国主要都市(対象1319名),誤差±2.7%,信頼度95% 支持 15%(10%) 不支持 80%(85%) 3 外交 (1)太平洋同盟関連 ア 2〜3日,イカ州パラカス市にて第10回太平洋同盟首脳会合が開催され,ウマラ大統領,ペニャ・メキシコ大統領,サントス・コロンビア大統領,バチェレ・チリ大統領が出席した。同会合の成果として,パラカス宣言が発出された。さらに,オーストリア等計10か国が新たにオブザーバー国として太平洋同盟に加入したことも発表された。 イ また,ウマラ大統領は,ペルーの太平洋同盟議長国就任に際し,教育,協力,統合の分野で太平洋同盟のブランド化に挑戦する等の目標を示した他,第3回太平洋同盟企業家サミットにて,教育の推進における民間協力の重要性を訴えた。 ウ 20日,太平洋同盟枠組条約が発効した。 (2)ペルーとコスタリカのビザ廃止協定署名 2日,第10回太平洋同盟首脳会合のマージンで,サンチェス・ペルー外相とゴンサレス・コスタリカ外相が,一般旅券保持者に対する観光ビザ廃止協定に署名を行った。本協定への署名により,二国間関係,友好関係,協力関係の強化だけでなく,両国間の観光客増加が期待される。 (3)ウマラ大統領のスペイン国賓訪問 7〜8日,ウマラ大統領はスペインを国賓訪問し,複数の企業向けフォーラムでペルー向け投資に関する発言を行った。また,フェリペ6世国王への謁見,上院訪問,第三国におけるスペイン政府との大使館・領事館の共同利用等複数項目に関する合意文書への署名式に出席した。 (4)ペルー・ブラジル政策協議等 7日,第11回ペルー・ブラジル政策協議及び第4回国境統合次官級会合にマルティネッティ・ペルー外務副大臣が出席し,ダネーゼ・ブラジル外務省次官と会談を行った。政策協議では,両国が二国間貿易の促進,物理的な統合の強化,文化及び科学技術分野における協力を優先的に進めること,また,各種社会プログラムに関する経験の相互共有に関し協力することが確認された。他方,国境統合次官級会合では,総合的国境地域管理,水陸輸送,国境委員会,国境をまたいだ国際ローミング,国境をまたぐ航空便及び国境周辺の住民に裨益する国際協力プログラムに関する議事録への共同署名が行われた。 (5)ペルー・エクアドル違法鉱業対策作業部会 14日,ペルー・エクアドル違法鉱業対策作業部会の第1回会合が開催された。今次会合では,違法鉱業及びインフォーマル鉱業の扱いに関する両国の取組の現状,共同摘発,水銀汚染に関し情報共有が行われた。ペルー政府からは,フェルナンデス鉱業フォーマル化・違法鉱業摘発・環境回復ハイレベル・コミッショナー及び外務省環境局のバヨン大使,エクアドル政府からは,カルデナス治安調整副大臣が出席した。
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